S&T式 参考書・問題集レビュー, 古文・漢文 , Leave a comment
S&T式 参考書・問題集レビュー

【伝統的な漢文学習の友】

1975年の出版以来、改訂を重ねて今に至っている、漢文学習の大御所的存在の参考書です。長く使われてきただけあって、内容は大変充実しており、高校で学習する漢文の内容は、しっかりと網羅されています。編集方針としては、基礎知識の正確な理解と整理を目標とし、体系的・段階的な学習の進行と、合理的かつ能率的に最大限の効果を挙げられることを目指す、ということになっています。また、学校の授業の予習・復習用として活用して欲しい、ということですから、普段から手元においておき、ちょっとした疑問点や確認点などがあれば、すぐに参照できるようにしておくのが理想的な使い方ということになるでしょう。

【合理的で能率的か】

本書を手に取り、ページを開いてみると、その飾り気の無さに驚かれる方も多いかもしれません。多色刷りでもなければ、重要ポイントのフォントを大きくしている訳でもない、「質実剛健・実用本位」といったような形容が当てはまるページ構成です。これぞまさに「ザ・参考書」という感じでしょうか。内容は非常に充実していると思います。特に、各解説のあとにある補説、チェックポイントは、案外つまづきやすかったり、分かりにくかったりする細かい内容まで配慮した念押し解説になっており、なるほど、と思わされるところが少なくありません。
ただし、この参考書は古典的名著の類といえます。一昔前のページの体裁や編集方針にアレルギーなく向きあえる人なら良いのですが、見た目で「うわっ」となってしまう人には、おそらく読むこと自体が苦行になることが想定されます。充実の内容ではあるのですが、この参考書で無ければならない、という訳でも有りません。無理して読みづらいと感じる参考書を使うことは逆に非合理的で非能率的になりますから、自分にとって使いやすい参考書を探すことをお勧めいたします。
また、やや瑕疵があるとすれば、漢文学習上の重要単語など、近年の参考書には多くついている付録が無いことがあげられます。ただ、一方では実践的な漢文読解のためのテクニック「文章の読解」に多めにページを割いており、問題全体の意味を取るために、読解力を養うべき方は一読の価値があるとも言えます。

【漢文の基礎は変化していない】

出題の傾向が近年変化しているというようなことは言われていますが、漢文を読むために必須となる基礎的な知識が変化していないことを実感させてくれる参考書です。とはいえ、学習上はそこに思いをいたす必要は有りません。なにしろ近年の参考書とは特に見た目、単純な読み易さという点で一線を画している本ですから、必ず一度実物を手にとってページを眺めてみて、自分が読めそうか、付き合っていけそうかどうかを確認することをお勧めいたします。評判だけで購入しても、折角の内容が活きない可能性も有りますので。

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